マリブロッキーオークスのワインが高品質な理由 - 醸造編 -
前回の投稿では、マリブロッキーオークスのワインについて、なぜ高品質なのか、その地理・気候の観点から考察していきました。今回の、『醸造編』では作り手やその醸造哲学についてみていきましょう。
◆目次:
経験豊富な作り手
マリブロッキーオークスは2003年創立で実業家のHoward Leight氏が立ち上げたワイナリーです。その畑や醸造の管理は、カリフォルニアワインの名産地ナパ・ソノマ地域でワイン造りと畑管理を自らの手で40年以上行ってきた Brendan Malm (Malm Cellars) と Tom Rohrssen (SIMI Winery) の監督のもと行われ、とても高いスタンダードで管理されています。2003年の創立当時から同じメンバーのスタッフが現場で働いており、ノウハウが定着し、安定したクオリティのワイン造りをしています。
弊社でも輸入販売している Malibu Rocky Oaks Sparkling Rosé は、ナパ・ソノマ地域で30個以上の金賞を含む100以上のメダルを受賞したPenny Gadd-Coster に師事し、シャンパーニュ製法* をマスターしたスパークリングワインの名手Manveer Sandhu がスパークリングワイン造りを管理監督しています。
*正式にはメトード・シャンプノワーズとも呼ばれる、シャンパン発祥時の伝統的な製法。瓶内二次発酵により自然な炭酸ガスを発生させ、泡を閉じ込めて作ることで、エレガントな粒の小さい上品な泡に仕上がります。
こだわりの手摘み収穫
マリブロッキーオークスでは、全てのぶどうを手摘みで収穫しています。
お手頃価格ワインの多くはコストを下げるために機械収穫されていますが、機械収穫では未熟なぶどうや腐敗が始まっている (=すでに酸化が進んでいる) 果実も無差別に収穫してしまうため、著しいワインの質低下の原因となります。
また機械収穫では、ブドウの樹を揺らして熟したブドウを落とすものが主流ですが、これは樹の寿命を縮める原因にもなり、短期的にも長期的にもそこで生産されるワインに悪影響を及ぼします。
そのような大量生産ワインと違い、少量生産でお値段は少々高くなっても上質なワインを追求したいマリブロッキーオークスのこだわりで、丁寧な手摘み収穫により、長期的な樹へのダメージも避け、厳選された高品質な果実だけが次の工程に運れていきます。高品質でおいしいワインがつくられる秘訣の一つです。
こんな急斜面で機械収穫するのはそもそも不可能ですね・・・
醸造哲学
素材本来の味を探求
マリブロッキーオークスでの醸造は品種やワインのスタイルによって異なりますが、マクロビン、ステンレスタンクで発酵されることが多く、プレス含めこちらの工程も手作業でされています。極力、添加物類を避け、ブドウ品種にあわせた天然酵母を使用し、この地域独特の香りと味わいが崩れないようにしています。長期熟成を安定させるために、酸化防止剤が足されることはありますが、品質が変わらないごくごく微量に留められています。上にも書いた手摘みによる収穫により損傷のない果実を厳選しているので、酸化防止剤を使う量も少なくて済むわけですね。
「あんなに飲んだのに頭痛もなくて、全然悪酔いしなかった」とワイン会参加者からお声をいただけるのも納得です。
最高級フレンチオーク
マリブロッキーオークスのシャルドネとピノノワールは Seguin Moreau社(セガン・モロー)の「Haute Futaie」(オウト・フティ)フレンチオーク樽で熟成されています。Haute Futaieはフランス政府が14世紀から管理している森から採れるオークなのですが、森のなかの木同士が日光の取り合いせず、まっすぐ育つよう、かなり広めの間隔をとって植えられ、樹齢150-200年で伐採と植樹を繰り返し、その中の厳選された7%ほどだけが「Haute Futaie」ブランドになる最高級のフレンチオークです。Seguin Moreau社によると、通常の樽で熟成されるワインよりも4倍香りが引き立つといわれています。このような最高級フレンチオークで最長24か月間、熟成されることにより、芳醇なアロマがありながら、程よいタンニンのストラクチャーに仕上がります。
環境にやさしいサスティナブル経営
マリブロッキーオークスでは、上にも書いたようにできる限り添加物を加えない「ナチュラル」なワイン造りを心がけていますが、サステナビリティにもかなり力を入れています。直接的に味に影響してこないものが多いかもしれませんが、豪雨、ハリケーン、山火事など環境問題の弊害が日米ともに感じられる昨今だからこそ消費者は、サスティナブル意識の高い生産者を選び始めていますし、販売者としても推奨していきたいです。取り組みを箇条書きでご紹介します。
- 土壌を活かした除草剤を使わない環境に優しいワイン造り
- 害虫対策、うどんこ病対策として、オーガニックの作物保護剤であるJMS Stylet Oilを使用。散布回数も年3回以下に抑えている
- 保護剤が畑の外に飛ばないように、政令で決められている「風速10mph以下の時にしか散布できない」制限よりもさらに厳しい、5mph以下という独自の基準を設定
- そのため野鳥も畑に多く行き来しており、自然な害虫駆除に一役買っている
- 「The Vineyard Team」というサスティナブルなワイン醸造家グループに所属しており、最新のサスティナブル事例の研究、啓蒙、実施に力を入れている
- 物流提携しているトラック会社はカリフォルニア州のエコ車両推進事業に順守している企業のみ
- 樽の調達先は、森の再植樹をしているところからのみ
- ワインボトルのラベルは省エネ、リサイクル効率の高い「クローズドループリサイクリング」を採用している企業から調達
まとめ
『マリブロッキーオークスのワインが高品質な理由』を地理編と醸造編の2回に分けて書きましたが、いかがでしたでしょうか。少しでもマリブロッキーオークスの生産者としてのこだわりが伝わったならうれしいです。お買い求めの際はこちらから。