この2017 年ヴィンテージの品質に対する期待は、現実のものとなりました。収穫されたブドウは非常に健康で、よく熟しており、選別はほとんど必要ありませんでした。
ワインメイキングは順調に進みました。このヴィンテージのチャーミングでフルーティー、充実して凝縮した味わいは、38 hl/ha と抑制された収量によるものです。
黒系果実(チェリー、ブラックベリー)、甘草の香りに加えて、フラワリーなニュアンスが漂います。塀に囲まれた畑はAppellation Givry の北側に位置します。何世紀にもわたって、南向きのこのクリュはシトー派の修道士たちによって、ブルゴーニュの代表的なブドウ畑のひとつとみなされてきました。ドメーヌが所有する5ha のブドウ畑は、傾斜の中腹と丘の上部に広がっており、うち1.5ha は1973 年と1978 年の間に植えられ、残りの3.5ha は2008 年と2012 年にピノ・ファンに植え替えられました。植密度は10,000 ~ 11,000本/ha。北風から守られつつも風通しがよく、ブドウはカビ病の心配もなくしっかりと成熟してい
きます。ブルゴーニュの偉大な畑に共通する粘土石灰質の地質が、ここでもはっきりと見られます。
土壌は、Clos の上部では比較的深く(50 ~ 70cm)、傾斜が増すにつれて少しずつ厚くなり、石ころが見られます。粘土とシルトが多いので、水はけがよく、雨が降ってもブドウの木は湿った環境に長くとどまることはありません。地中深くには泥灰岩の層があり、干ばつが続くとブドウの木を水ストレスから守ってくれます。
2006 年からは、厳しい区画調査が行われ、2008 年にはすでにClos の3 分の2 が植え替えられました。土壌や下層土壌に適した良質なピノ・ファンが選ばれます。土壌と植物の間に理想的な環境を生み出すことを大切にしています。このことにより、各ヴィンテージにおいて最高のパフォーマンスを表現することができています。収量が少ないヴィンテージが続いた後、2017 年は大らかな作柄となりました。春と夏は日照に恵まれて気温が上がり、平均気温は平年を上回りました。開花は理想的な条件下で始まり、非常に恵まれた天候が続いたため、過剰な収量を避けるために注意を払いました。
有機栽培を2016 年に、翌年2017 年にはビオディナミを導入し、栽培チームが介入をあまりしなくても、ブドウの木が良いバランスをとることができるようになりました。恵みの雨はブドウの成熟を助けました。健全なブドウが収穫でき、潜在アルコール度数は13 ~ 13.5 度。収穫は9 月1日から5日間にわたり、その後、濾過をせずに瓶詰めをしました。シトー派の修道士たちは、『Simplex natura』という言葉を残しています。創造性を最大限に発揮するためには、自然を引き出す必要があるのです。実際、クロ・デュ・セリエ・オ・モワンヌのワイン造りには、いかなる規則・制限はありません。ブドウは手摘みで収穫され、健全さと新鮮さを大切にします。小さな開放式のケースに入れられたブドウは、振動テーブルで厳しく選別された後、重力によってオーク樽に入れられます。ヴィンテージや区画によって、収穫の一部を除梗せずに全房のまま残すこともあります。アロマと味わいのポテンシャルをそのまま引き出すために、完全な状態で果実をオーク樽に入れることがとても大切です。発酵前の低温果皮浸漬の後、天然酵母のみの働きで発酵が始まります。熟成は、オーク樽(3 分の1は新樽)で16 ~ 18 ヶ月間行われます。ワイナリーは4 階構造になっていて、ブドウの到着から瓶詰めまで、ポンプを使わずに重力で処理することができます。1130年ころ、シトー会修道院によって設立されたブルゴーニュで最も歴史あるドメーヌの一つです。12世紀に造られたセラーはシトー会修道院の特徴であるゴシック建築様式で、1789年のフランス革命まで修道院によって運営されてきました。その後、退廃していたこのドメーヌを2004年にパスカル家が購入し、ジヴリー1級格付け畑の中でも特に素晴らしい石垣で囲まれた区画(クロ)と同名「Clos du Cellier aux Moines」をドメーヌ名とし、その歴史と過去の名声に恥じないワインを作るべく莫大な費用をかけて修復し、ブルゴーニュ初の完全グラヴィティシステムを導入するなど品質向上とドメーヌ復活に努めました。パスカル氏はLVMHのシャンパーニュメゾンや高級宝飾品会社のCEOを務めたのち、夫人とともにパリから移住した知的な情熱家で世界のワイン業界に広いネット・ワークを持っています。醸造を手掛けるギヨーム・マルク氏はDRC、アルヌー・ラショーなどで経験を積んで、ビオディナミにも見識のある優秀な若手醸造家です。現在は3人の子供達も参画し、畑を徐々に買い戻しております。最高品質のぶどうを収穫すべく、畑は無農薬で、収量制限や定期的な耕作を行い、完熟ぶどうのみを手摘みで収穫し、セレクションテーブルにて再度選果するという徹底して品質にこだわります。ピノ・ノワールは全房を木製大樽(フードル)にて、温度コントロールされながら発酵します。シャルドネは空気圧搾機で優しくプレスされ、赤・白ワインともに樽で熟成されます。2015年から徐々に移行していたビオロジック&ビオディナミ農法ですが、2017年から完全に転換しました。ドメーヌのモットーは修道僧の考えを引き継ぎ、ぶどう本来の力に手を添えるのみの「シンプル&ナチュラル」です。シャロネーズ地区「ジヴリー」を超越したコートドールを代表するドメーヌとして、ますます注目されること間違いありません。