気軽に飲めて体に優しいワインとしてデビューしたマサイアソンのテーブルワイン。
2020 年のヴィンテージは、驚きの連続でした。
世界的な感染拡大による作業の中断によって、ブドウ栽培とワイン造りだけでなく日常生活のルーティーンとリズムがどれほどありがたいものだったのかに気づかされました。
冬の間は乾燥していて気温も暖かかったので、控えめの樹勢、小さめの果実、そして果実の凝縮感をもたらしました。
3月にはタイミングよく降雨があり、健康的でバランスの良いキャノピーの生育に繋がりました。
次のサプライズが来るまでは、全体的に素晴らしい品質のブドウに仕上がっていたのです。
そこで起きたのが、雨が降らない多数の雷でした。
カリフォルニア州のいたるところで、落雷が数多くの山火事を引き起こしたのです。
しかし、収穫時期が早いこととマセレーションをせずに済むことから、白ワインへの影響はありませんでした。
ヴェルメンティーノを作り始めて9年目ですが、使われるブドウははいつもと同じく、コーニング・シリーズと呼ばれ、栄養分が少なく風化が進んだピンク色の砂利質の堆積土壌のウィンドミル・ヴィンヤードで栽培されたものが大部分を占めます。
畑は有機認証 (CCOF) を受けていています。
早めに収穫するおかげで、とてもフレッシュな風味があります。
乾燥していた年なので果実は非常に健康で、畑でも最低限のSO2 しか使用していません。
SO2 以外の添加物や清澄剤は一切使用していません。
マロラクティック発酵を行っていないため、殺菌フィルターに掛けてから瓶詰めしています。
オーナー醸造家のスティーヴ・マサイアソンはナパ・ヴァレー屈指のヴィンヤード・コンサルタントです。
彼のクライアントにはアイズリー、シャペレ、スポッツウッド等があり、バランスの取れたブドウ造りに定評があります。
マサイアソンは完全家族経営の小さなワイナリーです。
スティーヴが造る白ワインはイタリア・フリウリ地方のワインがモデルで、赤ワインはボルドー・スタイルが中心です。
畑(現場)出身の現場主義であり、畑の作業は可能な限り全て自分で行います。
そして、スティーヴはワインの味わいを決定する重要な要素である収穫時期を通常より 3 ~ 4 週間早めることを好み、カリフォルニアワイン業界全体を驚かせています。
2014 年には、アメリカの有力紙サンフランシスコ・クロニクルの「Winemaker of the Year」に選ばれ、今後の活躍が期待される敏腕若手醸造家です。
スティーヴ・マサイアソンにとって、ワインを造るという事は、畑仕事の延長にしか過ぎません。
マサイアソンで使われるブドウはナパ・ヴァレーとソノマ・ヴァレーの畑から収穫され、どれもスティーヴ本人が生育期を通して栽培を管理する畑です。
スティーヴはブドウ品種が本来持つ個性や香りをワインにそのまま反映させるスペシャリストです。
彼は、どこにでもあるようなシャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンはもとより、リボッラ・ジャッラやレフォスコ・ダル・ペドゥンコロ・ロッソのような、普段ナパ・ヴァレーでは、あまり見かけない品種も得意とします。
どんな品種であっても、彼の仕事は、ただひたすらそのブドウが育つ土壌と品種の個性をワインに反映させることです。
マサイアソンのワインの特徴は、お食事に合わせる事を前提とした爽快感と、通常のカリフォルニアワインよりも低めのアルコール度数です。
畑それぞれに適した栽培農法を用いることによって凝縮感のあるブドウを育て、醸造家としての自己顕示欲を極力抑え、ブドウの個性を尊重することによりアロマティックな香りに包まれたバランスの良いワインを造ることが可能になります。
カリフォルニアにおいて優れたバランスを持つシャルドネとピノ・ノワールを探求する組織として一世を風靡した「In Pursuit of Balance (IPOB)」の元メンバーであり、ヨーロッパを思わせるエレガントで鮮やかなワインを造ることに定評があります。