長年続いたナパ・ヴァレーの干ばつは2016 年ヴィンテージの生育期の始まりと同時に終わりました。例年並みの冬の雨によってブドウの樹と土壌は潤いました。2014 年と2015 年に発生したような熱波は2016年にはなく、比較的冷涼なヴィンテージでした。どのワイナリーもクオリティの高いブドウが収穫出来た反面、失敗が絶対に許されない、そのような年でした。ハンドレッド・エーカーにとって2016 年は歴史に残る素晴らしいヴィンテージとなりました。ケイリー・モーガン・ヴィンヤードはハウエル・マウンテンの麓、セント・ヘレナの街から少し北に行った場所にあります。チョコレートを思わせるような粘土質土壌で保水力が高く、ブドウの樹を適度に冷却する効果があります。夏の後半になるとブドウは乾いてヒビが入った土壌の割れ目から土の奥深くまで水分を求めて根を伸ばします。ケイリー・モーガン特有のミネラル感は、ブドウが土壌の奥深くから吸い上げたこの水分に由来します。100%自社畑、100%カベルネ・ソーヴィニヨンです。ハンドレッド・エーカーは、投資銀行時代に若くして巨万の富を築いたジェイソン・ウッドブリッジ(Jayson Woodbridge)が1998 年(当時36 歳)に創業したナパ・ヴァレーのブティック・ワイナリーです。ジェイソンは「0 か100 か」のポリシーを定め、「最高品質でなければやる意味がない」と強く信じ、一切の妥協を許さない「完璧」なカベルネ・ソーヴィニョンを生産しています。ハンドレッド・エーカーは、「完璧」を目指して努力をして造られるワインではなく、「完璧」が大前提の、こだわり抜いて醸造されるウ
ルトラ・プレミアム・ワインです。それぞれの畑に実るブドウは、熟成の進行に合わせて何度にも分けて手作業で収穫を行います。収穫後のブドウは粒単位で人の手によって徹底的に選果され、収穫のタイミング、区画、畑に分けて、それぞれ別々に発酵、プレス、熟成させます。ハンドレッド・エーカーで使われるフレンチオークは、特定の森に育つ木目の細かい木材のみが使われ、最低3 年間自然乾燥させた後にトーストされるハイスペックの樽のみが使われます。全てのワインは最低30 ヶ月の熟成を経て、ジェイソンが完成とみなした物のみが瓶詰め・リリースされます。もちろん、「完璧」でないワインはそもそもリリースされません。