ミリェンコ“マイク”・ガーギッチの生誕100 年への敬意を表して、 2019 年の素晴らしい年を彼に捧げます。 豊潤ですが、上品にバランスよく調和されたワイ
ンは、彼の長年の功績へのオマージュです。ブラック・ベリー、ローズヒップ、赤スグリ、ブラッド・オレンジの複雑なアロマから始まり 、甘やかなチェリー、ブルーベリー、ローズマリー、 そしてスモーキーなフレーヴァーが続きます。タンニンは柔らかく、丸みがあり、ヴェルヴェットのように滑らかで、優雅な長い余韻へと続きます。2019年の初旬は、通年を超える雨量を経験し、ラザフォードでは数か月間で1200 ミリを超える 降水量を観測しました。畑は十分な水分を確保でき、土壌も通常より冷えたため、発芽は遅いスタートとなりました。春と夏は、穏やかな気温が続き、 8 月まで熱波も訪れませんでした。 収穫は、 9 月初めに始まり、11 月の一週目に終わりました。ナパ・ヴァレー
の中でも 2 番目に古い樹齢のカベルネ・ソーヴィニヨンの区画の一つ で、 1959 年に植樹され、セント・ジョージの台木 にイングルヌック・ク
ローン ニーバム・カベルネ・ソーヴィニヨン♯ 29 とも知られる が植えられています。樹齢
6 0 年を超える古樹は、 可能な限り多くの栄養分を吸収し、 地中深くの下層土まで根 を伸ばしています。これらから出来るブドウは、房の数は少ないですが、その土地のテロワール、複雑性を表現する 、より 凝縮感と力強い フレーヴァーを持ちあわせています 。 全て環境再生型農業( 2023 年 3 月「 Regenerative Organic Certified 」取得)、 オーガニック認証( CCOF 、実際はビオディナミ農法を実践)。1976 年、かの有名なパリのティスティングの結果を受けて、ミイェンコ「マイク」・ガーギッチの名が世に知れ渡ります。フランスのトップクラスのワインとカリフォルニアワインのブラインドテイスティングが行われ、白ワインのトップに選ばれたのがカリフォルニア産の「1973年モンテレーナ・シャルドネ」でした。カリフォルニアワインが世界に認められるきっかけとなったこのワインを造ったその男こそが、マイク・ガーギッチでした。
その翌年、マイクはあの「ヒルズ・ブラザーズ・コーヒー」のオースティン・ヒルズとパートナーを組み、ナパ・ヴァレーにガーギッチ・ヒルズ・セラーを設立します。1977 年の独立記念日のことでした。もともとヒルズ氏は経営のスペシャリストであり、ナパ・ヴァレーのラザフォードの一等地にいくつもの畑を所有してた為、ワイナリーの資金源としてはもとより、ビジネス面でも細かく指揮を取ることが可能でした。その一方でマイクは根っからの醸造家で、最高品質のワインを造ることだけに専念したのです。息ぴったりの二人が生み出したリッチで複雑なシャルドネは、その後も世界各国の賞を受賞し、ワイン・ラヴァーの心を鷲掴みにする事となります。ガーギッチ・ヒルズのワインは、安定した品質と長期熟成可能なワインとして知られているほか、アメリカのレーガン大統領やクリントン大統領、英国のエリザベス2 世女王等の晩餐会で愛飲されました。ただ、ワイナリーが本当に嬉しいと思えることは、どこにでもあるようなごく普通の家庭の食卓にガーギッチ・ヒルズのワインが並び、記念日やお食事をよりいっそう思い出深いものにする瞬間です。
ワイナリーは現在6 つのワインを生産しています。どれも個性を生かしつつ、一つ一つ丁寧に感性を込めて醸造されますが、特別な思いを込めて造られるのは、やはりシャルドネです。エレガントな香りと繊細な味わいが絶妙なバランスとなります。その他、このシャルドネの兄弟的存在のフュメ・ブラン、リッチでスパイシーなジンファンデル、深みとコクを感じるカベルネ・ソーヴィニョン、どこかセクシーな印象のメルロ、そしてマイクの愛娘にちなんで名付けられた気品ある甘美な味わいのデザートワイン「ヴィオレッタ」を生産しています。青色のベレー帽がトレードマークのマイクは90 歳を過ぎた今でも健在です。2008 年には、カリフォルニアのワイン産業に貢献した人物をたたえる「Vintners Hall of Fame 」の殿堂入りを果たします。ガーギッチ・ヒルズは現在、マイクの愛娘Violet と甥のIvo Jeramaz が舵を取ります。決して過去の栄光に溺れる事がないよう、二人は毎年ワインの品質向上に力を入れています。
ブドウを持続的に生産し続けることはガーギッチ・ヒルズで最も重要な事です。環境にやさしい農業を実践することが、健康的で豊かなブドウ畑を維持ための長期的でしかも現実的な唯一な方法だと信じています。そしてその結果、より品質の高いブドウを生産することが可能となります。ガーギッチ・ヒルズが所有する5 つの自社畑では有機栽培を実践し、化学肥料や殺虫剤、除草剤等は一切使用せずに、天然酵母だけを用いてワインを醸造します。マイクの口癖である「畑から皆さんのグラスに直送の自家製ワイン!」という一言を確実に実行し、お食事と合わせやすく、繊細で上品なワインを造ることを心がけています。2003 年以降、ガーギッチ・ヒルズのすべてのワインのラベルに「エステート・グロウン」と
記載しています。これは自社畑のブドウ100%からワインを造ったことを証明しています。2006 年にはワイナリーが完全に太陽光発電に移行しました。これらを記念して2007 年にワイナリー名をガーギッチ・ヒルズ・エステートに改名しました。