このワインの名前であるla mauvaise reputationとは、日本語で「悪い評判」という意味です。
これはカリニャンが、グルナッシュやカベルネ・ソーヴィニョンなどの高貴品種とブレンドされ、生産量を増加するための「混ぜ物」のように扱われて見下されていた時期を皮肉った名前です。
しかしカリニャンはそれ自体が素晴らしく、完熟には達していない赤系果実とハーブ類の素晴らしい香りがあります。
そのままでもお楽しみいただけますし、赤身肉やスパイスの効いたものなど存在感のある料理との相性も抜群な美味しい赤ワインです。
お召し上がりになる1時間ほど前に抜栓をしてカラフェなどに移していただくのがお勧めです。
サービングの適温は16℃。
無濾過、無清澄で瓶詰め。
亜硫酸を含むすべての添加物は一切使用していません。
エステートの名前は、有名なジョルジュ・ブラッサンスの曲「レ・サボ・デレーヌ(エレーヌの木靴)」から来ていて、アルバンの妻の名がエレーヌであることと、ブラッサンスの反抗的な思考への共感でもあります。
フランスで最も寒い地域である、ベルギーのルクセンブルグそしてドイツと国境を接するフランス北部のロレーヌ地区出身のアルバン・ミシェルは、2005年に国の最南端のコルビエールに移住しました。
アルバンは、暖かくて率直な、まるで彼自身のようなワインを造るためにその地を選んだのです。
コルビエールはラングドック=ルシヨン地方にあり、地中海に近いため、夏は暑くて日当たりが良く、冬は穏やかです。
アルバンは樹齢30年以上の美しいシラーの古木と出会い、そして復活させ、それが現在の彼のワインのユニークさと美味しさに繋がっています。
カリニャンとグルナッシュのブドウの木はさらに古く、樹齢50年以上、樹齢100年までのものもあります。
少しアナーキスト(無政府主義者)であり、とりわけ自由主義者であるアルバンは、すべてのワインを自然な造りの「テーブルワイン」として販売し、A.O.C.を否定しています。
この地域は世界で最高レベルのワインを生みだしていますが、それと同時に気候変動を含めた難しい課題にも直面しています。
その中の一つは、収穫時期の少し前に毎年4.5ヘクタールのブドウ畑を訪れることを好む、大きくて丸い獣との戦いです。
最大100kgのイノシシの群れが、彼の愛するシラー、カリニャン、マスカット・アレクサンダー、グルナッシュのブドウを食い荒らすのです。
化学物質を一切含まないブドウは動物たちにとってもよほど美味しいらしく、樹から直接食べられてしまいます。
たまに、あまりのブドウ欲しさに、真夜中に保護フェンスを破壊してしまうこともあるぐらいです。
これはもちろん収穫量に影響を及ぼし、結果として生産量が大幅に削減する年もあります。
すべてのブドウは手摘みで丁寧に収穫され、除梗したあとマセレーション用のタンクに移され(最低10日間)、圧搾して果汁を抽出し、その後発酵タンクに移されます。
ブドウの果皮に存在する土着の野生酵母で発酵が自然に起こり、その酵母が糖をアルコールに分解することで、天然ワインのキュヴェが生まれるのです。
ワイン造りのどの時点でも、何も添加していません。
ブドウのみで作られたワインです。