2022年のウィラメット・ヴァレー・ピノ・ノワールは、トリイ・モアの”ブラック・ラベル”の典型的なスタイルを体現しています。
フレッシュなラズベリーや甘く豊かなダークチェリーの香りに、大地に育つマッシュルームの複雑なオークの香りが加わり、バニラとスパイスのニュアンスがそれを引き立てています。
フレーバーは前面に立っていながらもエレガントで、酸味、甘み、スパイシーさが調和し、フレッシュで鮮やかな赤系と黒系フルーツの風味に繋がります。
ホワイトペッパーやオークのスパイス、そして大地の複雑さがワインをさらに引き立てています。
口当たりはみずみずしく、複雑でスパイシーです。
フィニッシュは長く、豊満で甘みがあり、果実味、タンニン、香ばしい大地のニュアンスが複雑に絡み合っています。
この2022年のウィラメット・ヴァレー・ピノ・ノワールは今すぐにでも楽しめます。
2024年2月10日試飲2022年の生育期は、数回の積雪を含んだ寒く雨がちなオレゴンの典型的な寒い冬を経て、4月上旬に平均的な芽吹きを迎え、スタートしました。
4月中旬は平均よりも寒くなり、不必要に遅い雪や霜が降り、一部の芽にダメージを与えたため、収量が少なくなりました。
この寒波の為2次の芽が出るのを待たなければならず、収穫予定日は10月にずれ込んでいました。
また、冷たい雨の春は、ブドウ畑のベト病の発生を加速させました。
理想的とは言えないスタートを切った後、生育期は一転して7月、8月、9月に記録的な高温に見舞われました。
開花は暖かく乾燥した天候の中で行われ、収量が少ないという以前の懸念は払拭されました。
10月の収穫を期待していたため、未熟果、雨、鳥、病害の心配もありましたが、夏の終わりから10月にかけての完璧な天候により、これらの心配はすべて解消されました。
ブドウの収量は低い方で、果実はフレーバー、糖分、酸の完璧なバランスを示しています。
収穫は10月7日に始まり、10月26日に終了しました。
10月7日から10月26日にかけて収穫されたウィラメット・ヴァレーのピノ・ノワールのブドウは、ブリックス22.3から24.9で手摘みされました。
選果後、1日3回のパンチダウンを行いながら、全房を最小限に抑えて12日から26日間発酵させました。
その後、主にフレンチオーク(一部はハンガリー産オーク)で10ヶ月間熟成させました。
樽はマロラクティック発酵後の4月に澱引きされ、8月にブレンドを行う際に再度澱引きされ、瓶詰めまでタンクで保管されました。
Torii Mor(トリイ・モア)という名前は日本語で神社の入り口に立っている門「鳥居」Toriiと、古代スカンジナビア語で「大地」を意味するMorを合わせたものです。
この二つの異なった言葉を合わせてつくられたトリイ・モアはブドウの樹は大地への神聖な門を通して素晴らしいものを我々にもたらしてくれるということを暗に表しています。
おそらくピノ・ノワールほど栽培されている土地の微妙な意味合いをエレガントに表現する品種はなく、トリイ・モアのピノ・ノワールは大地がもたらしてくれるものに余分なことをしないで純粋に表現する為、人の手の介入を最小限に抑え、天然酵母で醗酵させる等細心の注意を払ってつくられています。
トリイ・モアはワイン、特にピノ・ノワールは人間と自然が相互に協力しあって創り出す値段のつけられない、複製できない芸術作品と考えています。
ワインは家族や友人と一緒に楽しむことのできるアートや物語と同じものであると考える私達に皆さんも同意していただけると思います。
1993年のファーストリリースから「’オールドワールド’スタイルのエレガントなピノ・ノワールを追求する」というビジョンでトリイ・モアはワインを造り続けています。
オーナーのドナルド・オルソン博士は神経外科の医師で現在は疼痛医学を専門としています。
長くブルゴーニュワインのファンであったオルソン博士はオレゴン・ダンディヒルズこそが次世代のピノ・ノワールの聖地であると信じ、1985年にオレゴンワイン黎明期の創設者のひとりJim McDanielから1972年植樹の歴史ある畑と美しい日本庭園を含むワイナリー施設を譲り受けました。
ワイナリー名のトリイ・モアは博士の造語で、ピノ・ノワールの表現するテロワールと大地との結びつきを表しています。
8代続くブルゴーニュのワイン生産者出身のジャック・タルディが2004年からワイン造りを担当し、ジャックの元で働いていたジョン・タマセリが2021年より新ワインメーカーに就任しました。
ウィラメットヴァレーで最もエレガンスを感じるワインと言っても過言ではないでしょう。