このブドウ品種の正式名は「レフォスコ・ダル・ペンデュンコーロ・ロッソ 」であり、イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州及び、隣接しているスロベニアに共通する土着品種だと言われています。実は最近までアメリカで「レフォスコ」として知られていたブドウ品種は、DNA鑑定で「モンデュース」という全く別のブドウ品種であることが証明されました。マサイアソンの「レフォスコ」は、90 年代後半にイタリアから正式に輸入された「レフォスコ・ダル・ペンデュンコーロ・ロッソ 」の接木用の枝を使用した、正真正銘の「レフォスコ」です。この「レフォスコ」の歴史は古く、1409 年に行われたグレゴリウス12 世 ( ローマ教皇) の晩餐会のメニューに品種名が記載されています。また「レフォスコ」は、シラーとピノ・ノワールと同じ遺伝的背景を持つブドウ品種だとも言われています。果実味と土っぽさのバランスと柔らかなタンニンが特徴で、飲んでいて幸せになるようなワインです。1996 年に植樹され、2008 年にメルロの古樹に接ぎ木しました。ナパ・ヴァレー南部にあるウェスタン・オーク・ノールの自社畑、マサイアソン・ヴィンヤードは、霧が多く風もある海洋性の気候です。果樹や野草、野花に囲まれたこの畑では自然のままの生態系が保たれていて、年中子どもたちの声やコヨーテやフクロウの鳴き声、蜂などがさざめいています。ブドウは除梗をしてから圧搾し、小型ステンレスタンクで発酵。手作業でパンチダウンとポンプオーバーを行いました。16 日間のスキンコンタ
クト後にプレスし、ブルゴーニュのオーク旧樽で11 ヶ月間熟成させました。無濾過・無清澄。オーナー醸造家のスティーヴ・マサイアソンはナパ・ヴァレー屈指のヴィンヤード・コンサルタントです。彼のクライアントにはアイズリー、シャペレ、スポッツウッド等があり、バランスの取れたブドウ造りに定評があります。マサイアソンは完全家族経営の小さなワイナリーです。スティーヴが造る白ワインはイタリア・フリウリ地方のワインがモデルで、赤ワインはボルドー・スタイルが中心です。畑(現場)出身の現場主義であり、畑の作業は可能な限り全て自分で行います。そして、スティーヴはワインの味わいを決定する重要な要素である収穫時期を通常より 3 ~ 4 週間早めることを好み、カリフォルニアワイン業界全体を驚かせています。2014 年には、アメリカの有力紙サンフランシスコ・クロニクルの「Winemaker of the Year」に選ばれ、今後の活躍が期待される敏腕若手醸造家です。スティーヴ・マサイアソンにとって、ワインを造るという事は、畑仕事の延長にしか過ぎません。マサイアソンで使われるブドウはナパ・ヴァレーとソノマ・ヴァレーの畑から収穫され、どれもスティーヴ本人が生育期を通して栽培を管理する畑です。スティーヴはブドウ品種が本来持つ個性や香りをワインにそのまま反映させるスペシャリストです。彼は、どこにでもあるようなシャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンはもとより、リボッラ・ジャッラやレフォスコ・ダル・ペドゥンコロ・ロッソのような、普段ナパ・ヴァレーでは、あまり見かけない品種も得意とします。どんな品種であっても、彼の仕事は、ただひたすらそのブドウが育つ土壌と品種の個性をワインに反映させることです。マサイアソンのワインの特徴は、お食事に合わせる事を前提とした爽快感と、通常のカリフォルニアワインよりも低めのアルコール度数です。畑それぞれに適した栽培農法を用いることによって凝縮感のあるブドウを育て、醸造家としての自己顕示欲を極力抑え、ブドウの個性を尊重することによりアロマティックな香りに包まれたバランスの良いワインを造ることが可能になります。カリフォルニアにおいて優れたバランスを持つシャルドネとピノ・ノワールを探求する組織として一世を風靡した「In Pursuit of Balance (IPOB)」の元メンバーであり、ヨーロッパを思わせるエレガントで鮮やかなワインを造ることに定評があります。