元の畑のオーナーであるディック&ナンシー夫妻がこの地に到着した際に数千羽のカナリアを目にした事から、日本語で「カナリアの丘」という名を持つこの畑ですが後にこの黄色い鳥はカナリアではなかったことが判明しました。
この畑を気に入ったケンは2006年にディック&ナンシーから譲り受け、周りは放牧場だったこの地を信じてブドウを植えた彼らに敬意を表して、夫妻が最初に植樹をした場面をラベルに描いています。
カーターヴィンヤードが西向きであるのに対しカナリーヒルは東向きにあることから柔らかい日光を浴び、ブドウの皮は薄く繊細なピノノワールに仕上がります。
アメリカンチェリー、ブラックベリー、カリンなどの輝くような果実に、ライラックやハイビスカスのフローラルな香りが広がります。
絹の様でやわらかなフレーバーと生き生きとした酸味が口中に広がります。
今年の収穫量は平均3トン弱で、生育期間中に経験した暑さの蓄積に対して最適でした。
夏場の乾燥した気候で病気が発生することもなく、発酵も完璧に進み、一度も 一旦停止の状態になることはありませんでした。
ワインはリッチで表現豊か、非常に細やかで深い色合いをしています。
ケン・ライトは2015年にオレゴンで初めてワインスペクテーターの表紙に取り上げられ、オレゴン・ピノノワール業界におけるその功績と地元での慈善活動が9ページにわたり紹介されました。
シングルヴィンヤード・ワインを得意とし、40年にわたり世界中で彼のワインは称賛され続けています。
ピノ・ノワールという品種は私たちの知るどの食べ物とも飲み物とも異なり、私たちと「畑・大地」を結びつける素晴らしい力を持っています。
それはまるで真っ白なキャンバスのようにブドウがそれぞれの土地の香りやフレーバーを吸収し表現するとケンは語ります。
ウィラメットヴァレーAVAは全て同じではなく、サブAVAを制定し、細分化の必要性を最初に説いたのもケンでした。
ケン・ライトがいなければ、今日のオレゴン・ピノノワールがここまで特殊性を持つこともなかったでしょう。
ケンはピノノワールの個性と土壌の関係性も明確にしており、海洋性堆積物土壌のピノはフローラルでスパイスにフォーカス、火山性堆積物の土壌ではより果実味に富んだワインに仕上がる傾向にあると述べています。