色鮮やかなサーモンカラーの色調が目を惹きます。新鮮なプラム、赤スグリ、ベーキングスパイス、チェリーパイのアロマ。味わいは、はつらつとした綺麗な酸から始まり、ピノ・ノワールのデリケートで豊かな果実のコクが感じられ、やわらかな口当たりをもたらします。そして長い余韻が続きます。ワイン単体で飲んでも、あるいはコース料理の最初から最後までほぼ全ての品目と合わせて楽しむことができます。2020年は8月に山火事が発生したため、その煙の影響を受ける前に、少しでもブドウを救いたい思いで急いで収穫をしました。例年の収穫時期よりかなり早かったため糖度は16.5Brixと赤ワインに仕上げるには低く、スパークリング・ワインとして生産をしました。こうした苦肉の策で生まれたものでしたが、現地のワイン・クラブ会員限定で販売したところ、たいへん好評を博したため、日本でも販売することとなりました。ユーキ・エステートは、2022年5月に新しくAVAに認定された、カリフォルニアで注目を集めている産地、ウエスト・ソノマ・コーストにある自社畑です。太平洋から8kmほど内陸のオクシデンタルという地域、レッドウッドの原生林に囲まれた標高300mに位置する冷涼な畑で、2014年の初ヴィンテージより、この土地の特性を表すワインを産みだし続けて来ました。ナパ・ヴァレーのシュラムスバーグの元醸造家だったクレイグ・ローマーの協力も得て、ブラン・ド・ブランと同様、畑の特徴とフリーマン特有のエレガントなハウススタイルを余すところなく表現できるよう、醸造はミニマルな姿勢を取りました。澱と共に一次発酵させたことでユーキの畑の特徴である果実味は更に豊かになり、フレンチオークの旧樽を使用することでワインの骨格とアロマを高め、無濾過によりボディを削ぎ落とすことなく自然な透明感を得ることができました。更なる瓶内熟成により、酵母の香りの特徴が一層引き立ちます。1g/Lのドサージュです。フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリーはケン・フリーマンと六本木出身で奥様のアキコによって2001年に設立されました。その15年前、まだ二人が出会って間もない頃、共にエレガントで洗練されたシャルドネとピノ・ノワール好きとして意気投合し、いつかはカリフォルニアでブルゴーニュのような複雑味と、飲み手を惹き込む力を持ったワインを自分達の手で造ることを夢見ていました。世界に匹敵するワイナリー設立を実現するために、冷涼でなだらかな斜面に植えられているブドウ畑を中心に、300を超える畑や栽培農家の視察を始めます。その結果、選んだのは霧に覆われ海岸から内陸に吹き込む冷たい海風に影響されるソノマ・ヴァレーの生産地でした。そこで育つブドウはゆっくりと成熟し、フレッシュな酸が保たれ、とてもピュアでフレーヴァー豊かに育ちます。フリーマンが設立された2000年代は、カリフォルニアでは果実味たっぷりのワインが生産され消費されていたブームの真っ只中ですが、彼らはそんなトレンドに影響されることなく、有機農業を基本としながら、バランスが取れた上品なワインを醸造するという自分達の信念を貫いています。結果、フリーマンのワイン・スタイルはカリフォルニアはもとより、世界からも注目を浴びるようになり、各国の著名なレストランのワインリストに採用されて、小さいながらも著名なブランドに成長しました。2015年4月、安倍晋三首相を招いて行われたバラク・オバマ元大統領のホワイトハウス公式晩餐会に、2013年ヴィンテージの涼風シャルドネが供され、一躍脚光を浴びました。2019年現在、アキコさんはカリフォルニアでワイナリーと畑を所有する唯一の日本人オーナー女性醸造家として、つつましく切れ味のある高品質ワインを造り続けています。
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