2018 年のソノマ・コースト ピノ・ノワールは、透明感のある深いルビー色をしています。
新鮮な野生ブラックベリーと、セージやタイム、ミントといったハーブの香りが美しく折り重なっています。
いきいきとした味わいはしっかりとした酸、プラム、ルバーブ、コーラと広がります。
心地の良いテクスチャーの余韻へとつながり、2018 年の強みを余すことなく表現しています。
2029 年頃までが飲み頃です。
2018 年は、萌芽から収穫まで全てが理想的なヴィンテージでした。
例えば5 月になって急に気温が下がり収量が激減したり、8 月と9 月の猛暑によって収穫を早めることになったりと、何かしらの天候の不安要素が出てくるのが平年のケースです。
しかし、2018 年はそうではありませんでした。
収量も多くとても健康で、非常に質の良いブドウができました。
グレートヴィンテージと言われた2012 年よりもさらに素晴らしく、フリーマンのワイン造りが始まって17 年目にして最高のヴィンテージでした。
このソノマ・コーストのピノ・ノワールは、2 つのユニークな畑から収穫されたブドウを使っています。
1 つは、ソノマ・コーストAVA の南西の角にあり、もう一つは北西の角にあります。
2 つある自社畑の一つであるユーキ・エステートは2018 年に栽培を始めてから、これまでに40t 以上の素晴らしいピノ・ノワールが収穫されてきました。
この畑はオクシデンタルの町のすぐ上に位置し、このワインに入っている2A、23、114、667、カレラ、マウント・エデンのクローンが植樹されている最も冷涼なサイトです。
またフリーマンでは2010 年以来、ソノマ郡北西端にほど近いアナポリスの町の近くにあるキャンベル・ランチで栽培されているディジョン・クローン777 を使っています。
この畑を管理するヴァルデス一家は、ソノマ・コーストのこのワインで常に重要な役割を担うブドウを栽培してくれています。
長年栽培責任者を務めていたウリシス・ヴァルデス氏は、残念ながら2018年ヴィンテージの途中で永眠されました。
フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリーはケン・フリーマンと六本木出身で奥様のアキコによって2001年に設立されました。
その15年前、まだ二人が出会って間もない頃、共にエレガントで洗練されたシャルドネとピノ・ノワール好きとして意気投合し、いつかはカリフォルニアでブルゴーニュのような複雑味と、飲み手を惹き込む力を持ったワインを自分達の手で造ることを夢見ていました。
世界に匹敵するワイナリー設立を実現するために、冷涼でなだらかな斜面に植えられているブドウ畑を中心に、300を超える畑や栽培農家の視察を始めます。
その結果、選んだのは霧に覆われ海岸から内陸に吹き込む冷たい海風に影響されるソノマ・ヴァレーの生産地でした。
そこで育つブドウはゆっくりと成熟し、フレッシュな酸が保たれ、とてもピュアでフレーヴァー豊かに育ちます。
フリーマンが設立された2000年代は、カリフォルニアでは果実味たっぷりのワインが生産され消費されていたブームの真っ只中ですが、彼らはそんなトレンドに影響されることなく、有機農業を基本としながら、バランスが取れた上品なワインを醸造するという自分達の信念を貫いています。
結果、フリーマンのワイン・スタイルはカリフォルニアはもとより、世界からも注目を浴びるようになり、各国の著名なレストランのワインリストに採用されて、小さいながらも著名なブランドに成長しました。
2015年4月、安倍晋三首相を招いて行われたバラク・オバマ元大統領のホワイトハウス公式晩餐会に、2013年ヴィンテージの涼風シャルドネが供され、一躍脚光を浴びました。
2019年現在、アキコさんはカリフォルニアでワイナリーと畑を所有する唯一の日本人オーナー女性醸造家として、つつましく切れ味のある高品質ワインを造り続けています。