2014 年のワインは、品種の特性を純粋に表現したワインです。
サクランボの香りに始まり、かすかな桃の花に移り、その後凝縮されたブラックベリー、スミレ、クローブ、シナモン、そしてカプチーノの香りへと続きます。
口当たりは柔らかく、中心に甘みを感じます。
2014 年のヴィンテージはバランスが取れて旨味があり、ローズマリーと煮詰めた赤系果実のソースも奥底に感じます。
新樽を使った穏やかな熟成も、ワインの美しい表現力を支えています。
ナパ・ヴァレーの2014 年の冬の降水量は例年の半分でしたが、萌芽直前の3 月に大雨が降ると、アイズリー・ヴィンヤードは水浸しになるほどでした。
その後は暖かくなり春の霜もなかったので、歴代最も早い萌芽でした。
開花は2013 年よりも2 週間早く、花の付きも均一で質の良い小さい房になりました。
7 月の穏やかな天候はブドウをゆっくりと成熟に向かわせましたが、その後8 月と9 月の気温の上昇が成熟を早めました。
その気温の上昇によって繊細でありながらも非常に満足のいく素晴らしい果実になり、シラーの収穫は9 月4 日から8 日に行われました。
穏やかに圧搾し、ピュアな果実感を残すため、軽くトーストした新樽(40%)で熟成させました。
ブドウはCCOE 認定のオーガニックブドウ且つ、デメター認定のビオディナミブドウです。
アイズリー・ヴィンヤードはカリストガの東、ナパ・ヴァレーの北端に近い扇状地に位置し、1971年以来、最も長熟が可能で凝縮したフレーヴァーを持つカベルネ・ソーヴィニョンが栽培されてきました。
北にあるパリゼーズ山脈に守られ、チョーク・ヒル・ギャップを通って来る西からの冷気によって冷却される約15.2haの畑は、水捌けの良い丸石の多い土壌で、収量が少なく凝縮感溢れるブドウが育ちます。
この素晴らしい畑から造られるワインは特異なコンビネーションを持ちます。
ストレートな個性且つ緻密で明確なフレーヴァーを持ちつつ、滑らかな舌触りで重たさを感じさせない凝縮感があり、熟成による複雑味が生まれる要素も持ち併せています。
アイズリー・ヴィンヤードに最初にブドウが植えられたのは1880年代で、当時はジンファンデルとリースリングが植えられていました。
その後も継続的にブドウが植えられ、1964年にはミルト&バーバラ・アイズリー夫妻により最初にカベルネ・ソーヴィニョンが植えられました。
1970年代に驚くべきワインが次々と現れた後、先見の明を持つナパ・ヴァレーのヴィントナー、ジョーセフ・フェルプスがその後伝説的なカベルネ・ソーヴィニョンとなるワインをこの畑から造る事になります。
1975年から、ジョーセフ・フェルプスのアイズリーの最後のヴィンテージとなる1991年まで、他のワインと比較できない程素晴らしい個性と品質を持つワインが、この畑から造られました。
1991年ヴィンテージにはこのアイズリー・ヴィンヤードから2つのワインが造られました。
一つはフェルプス最後のヴィンテージ、そしてもう一つは、この年にアイズリー・ヴィンヤードを購入したアローホ夫妻がリリースしたアローホ・エステートのワインです。
その後、アローホが造るアイズリー・ヴィンヤードのワインはカリフォルニア屈指のカルトワインの地位を確立します。
2000年からアローホ・エステートはバイオダイナミック農業を実践し、2005年にはデメターよりバイオダイナミック農法の認証を獲得しました。
栽培と醸造の両方の分野で、自然のリズムに適応しながらワイン造りを実践してきました。
2013年にはフランス・ボルドー1級のシャトー・ラトゥール、ブルゴーニュのドメーヌ・デュジェニーとモノポール・クロ・ド・タール、コンドリューのシャトー・グリエ等のオーナーとして知られる、フランソワ・ピノーがアローホを買収しました。
シャトー・ラトゥールの総支配人、フレデリック・アンジェラ氏監督のもと、歴史を刻んだアイズリーのブドウを使い、クラシカル且つ新しいスタイルのナパ・ヴァレーのワインを生産しています。
2016、この畑のテロワールと実力を証明すべく、ワイナリーの名前を「アイズリー・ヴィンヤード」に改名しさらなる飛躍を目指します。