グアバなどのトロピカルフルーツとグースベリーの凝縮された香りがあり、その後マイヤーレモンの果皮やミネラルを感じます。
凝縮感とフレッシュさは素晴らしいものです。
柔らかさがありつつも焦点が定まった味わいで、ほのかに塩味さえ感じられるような旨味があります。
緊張感とミネラル感が余韻に感じられ、今までのソーヴィニヨン・ブランの最高傑作ともいえるヴィンテージです。
2016-2017 年の冬は、過去5 年間で降雨量が一番多い年でした。
雨期後半は例年よりも冬の嵐が少なかったものの、2017 年の貯水池の水量は例年よりも高くなり、萌芽時期は通常でした。
気温は比較的穏やかでしたが、熱波が数回訪れたため、樹勢が一次的に強くなった時期もありました。
その結果、開花は2012 年以来の遅さとなりました。
例年よりも小さい果粒でしたが実の付きは良く、8 月の穏やかな気候がソーヴィニヨン・ブランの成熟に拍車をかけてくれ、すべての区画で同時に成熟を迎え、非常に凝縮された香りになりました。
収穫は、理想的な天候のもと8 月24 日と29 日に行われました。
ワイナリーに到着した果実には胸が躍るような表現力があり、ソーヴィニヨン・ブランに適した生育期だったお陰でとても素晴らしい複雑味のあるワインに仕上がりました。
使われたブドウはCCOF 認証のオーガニック且つ、Demeter 認証のビオディナミブドウです。
ワインは30%ステンレスタンク、15%卵型コンクリートタンク、40%旧樽、15%新樽にて12 ヶ月間熟成しました。
アイズリー・ヴィンヤードはカリストガの東、ナパ・ヴァレーの北端に近い扇状地に位置し、1971年以来、最も長熟が可能で凝縮したフレーヴァーを持つカベルネ・ソーヴィニョンが栽培されてきました。
北にあるパリゼーズ山脈に守られ、チョーク・ヒル・ギャップを通って来る西からの冷気によって冷却される約15.2haの畑は、水捌けの良い丸石の多い土壌で、収量が少なく凝縮感溢れるブドウが育ちます。
この素晴らしい畑から造られるワインは特異なコンビネーションを持ちます。
ストレートな個性且つ緻密で明確なフレーヴァーを持ちつつ、滑らかな舌触りで重たさを感じさせない凝縮感があり、熟成による複雑味が生まれる要素も持ち併せています。
アイズリー・ヴィンヤードに最初にブドウが植えられたのは1880年代で、当時はジンファンデルとリースリングが植えられていました。
その後も継続的にブドウが植えられ、1964年にはミルト&バーバラ・アイズリー夫妻により最初にカベルネ・ソーヴィニョンが植えられました。
1970年代に驚くべきワインが次々と現れた後、先見の明を持つナパ・ヴァレーのヴィントナー、ジョーセフ・フェルプスがその後伝説的なカベルネ・ソーヴィニョンとなるワインをこの畑から造る事になります。
1975年から、ジョーセフ・フェルプスのアイズリーの最後のヴィンテージとなる1991年まで、他のワインと比較できない程素晴らしい個性と品質を持つワインが、この畑から造られました。
1991年ヴィンテージにはこのアイズリー・ヴィンヤードから2つのワインが造られました。
一つはフェルプス最後のヴィンテージ、そしてもう一つは、この年にアイズリー・ヴィンヤードを購入したアローホ夫妻がリリースしたアローホ・エステートのワインです。
その後、アローホが造るアイズリー・ヴィンヤードのワインはカリフォルニア屈指のカルトワインの地位を確立します。
2000年からアローホ・エステートはバイオダイナミック農業を実践し、2005年にはデメターよりバイオダイナミック農法の認証を獲得しました。
栽培と醸造の両方の分野で、自然のリズムに適応しながらワイン造りを実践してきました。
2013年にはフランス・ボルドー1級のシャトー・ラトゥール、ブルゴーニュのドメーヌ・デュジェニーとモノポール・クロ・ド・タール、コンドリューのシャトー・グリエ等のオーナーとして知られる、フランソワ・ピノーがアローホを買収しました。
シャトー・ラトゥールの総支配人、フレデリック・アンジェラ氏監督のもと、歴史を刻んだアイズリーのブドウを使い、クラシカル且つ新しいスタイルのナパ・ヴァレーのワインを生産しています。
2016、この畑のテロワールと実力を証明すべく、ワイナリーの名前を「アイズリー・ヴィンヤード」に改名しさらなる飛躍を目指します。