太陽に恵まれたうえ、低収量(30hl/ha)のため、豊かな果実味を感じるスタイルとなりました。
香りには新鮮な黒い果実(チェリー、ブルーベリー)とスパイスが感じられます。
口に含むとしっかり感じるタンニンの質は緻密です。アタックから余韻に続くまで、甘草の風味が感じられ、とてもエレガント。偉大なテロワールを表現した、熟成にも向く1 本です。塀に囲まれた畑はAppellation Givry の北側に位置します。
何世紀にもわたって、南向きのこのクリュはシトー派の修道士たちによって、ブルゴーニュの代表的なブドウ畑のひとつとみなされてきました。ドメーヌが所有する5ha のブドウ畑は、傾斜の中腹と丘の上部に広がっており、うち1.5ha は1973 年と1978 年の間に植えられ、残りの3.5ha は2008 年と2012 年にピノ・ファンに植え替えられました。植密度は10,000 ~ 11,000本/ha。北風から守られつつも風通しがよく、ブドウはカビ病の心配もなくしっかりと成熟していきます。ブルゴーニュの偉大な畑に共通する粘土石灰質の地質が、ここでもはっきりと見られます。
土壌は、Clos の上部では比較的深く(50 ~ 70cm)、傾斜が増すにつれて少しずつ厚くなり、石ころが見られます。粘土とシルトが多いので、水はけがよく、雨が降ってもブドウの木は湿った環境に長くとどまることはありません。地中深くには泥灰岩の層があり、干ばつが続くとブドウの木を水ストレスから守ってくれます。
2006 年からは、厳しい区画調査が行われ、2008 年にはすでにClos の3 分の2 が植え替えられました。土壌や下層土壌に適した良質なピノ・ファンが選ばれます。土壌と植物の間に理想的な環境を生み出すことを大切にしています。このことにより、各ヴィンテージにおいて最高のパフォーマンスを表現することができています。2015 年は必要な時期に太陽に恵まれたヴィンテージ。ブドウの木は栄養を蓄えることができました。7 月は特に暑く乾燥し、気温が上昇し気温が30 度を超える日が18 日間続きました。
8 月には恵みの雨がわずかにありました。地上樹部の活動は早く始まり、開花は5 月末となりました。ブドウの成熟スピードは速く、収穫は9 月2 日に始まりました。収穫作業は6 日間にわたり、連日晴天に恵まれました。素晴らしいブドウが収穫できました。
瓶詰めは2017 年2 月14 日。清澄・濾過はしません。シトー派の修道士たちは、『Simplex natura』という言葉を残しています。創造性を最大限に発揮するためには、自然を引き出す必要があるのです。実際、クロ・デュ・セリエ・オ・モワンヌのワイン造りには、いかなる規則・制限はありません。ブドウは手摘みで収穫され、健全さと新鮮さを大切にします。小さな開放式のケースに入れられたブドウは、振動テーブルで厳しく選別された後、重力によってオーク樽に入れられます。ヴィンテージや区画によって、収穫の一部を除梗せずに全房のまま残すこともあります。アロマと味わいのポテンシャルをそのまま引き出すために、完全な状態で果実をオーク樽に入れることがとても大切です。発酵前の低温果皮浸漬の後、天然酵母のみの働きで発酵が始まります。熟成は、オーク樽(3 分の1は新樽)で16 ~ 18 ヶ月間行われます。ワイナリーは4 階構造になっていて、ブドウの到着から瓶詰めまで、ポンプを使わずに重力で処理することができます。1130年ころ、シトー会修道院によって設立されたブルゴーニュで最も歴史あるドメーヌの一つです。12世紀に造られたセラーはシトー会修道院の特徴であるゴシック建築様式で、1789年のフランス革命まで修道院によって運営されてきました。その後、退廃していたこのドメーヌを2004年にパスカル家が購入し、ジヴリー1級格付け畑の中でも特に素晴らしい石垣で囲まれた区画(クロ)と同名「Clos du Cellier aux Moines」をドメーヌ名とし、その歴史と過去の名声に恥じないワインを作るべく莫大な費用をかけて修復し、ブルゴーニュ初の完全グラヴィティシステムを導入するなど品質向上とドメーヌ復活に努めました。パスカル氏はLVMHのシャンパーニュメゾンや高級宝飾品会社のCEOを務めたのち、夫人とともにパリから移住した知的な情熱家で世界のワイン業界に広いネット・ワークを持っています。醸造を手掛けるギヨーム・マルク氏はDRC、アルヌー・ラショーなどで経験を積んで、ビオディナミにも見識のある優秀な若手醸造家です。現在は3人の子供達も参画し、畑を徐々に買い戻しております。最高品質のぶどうを収穫すべく、畑は無農薬で、収量制限や定期的な耕作を行い、完熟ぶどうのみを手摘みで収穫し、セレクションテーブルにて再度選果するという徹底して品質にこだわります。ピノ・ノワールは全房を木製大樽(フードル)にて、温度コントロールされながら発酵します。シャルドネは空気圧搾機で優しくプレスされ、赤・白ワインともに樽で熟成されます。2015年から徐々に移行していたビオロジック&ビオディナミ農法ですが、2017年から完全に転換しました。ドメーヌのモットーは修道僧の考えを引き継ぎ、ぶどう本来の力に手を添えるのみの「シンプル&ナチュラル」です。シャロネーズ地区「ジヴリー」を超越したコートドールを代表するドメーヌとして、ますます注目されること間違いありません。