バラード・キャニオンAVAで最も古い畑のシラーから作られた”オリジナルズ”。小高い丘の頂にある二つの古い畑では、開墾当初からドライファーミング、有機農法を行っている。
オリジナルズに使用しているシラーは当主トム・ストルプマンが1992年に植樹したシラーの樹から収穫したブドウのみを使っている。これらは最初のプランティングであっただけでなく、バラードキャニオンAVAの一番古いブドウ樹である。これらのシラー栽培の始まりが、バラードキャニオンのAVAが正式に認められることにつながり、全米で唯一シラーを中心とするAVAになった。
収穫は9月7~9日。
シラー100%。うち50%はホールクラスター、野生酵母を使用し、オープントップのコンクリートタンクで発酵。パンプオーバーは一日1回のみ、パンチダウンは合計3回。温度は21度を保ち、自然のまま低温発酵。プレスはせず、フリーラン果汁のみを使用。
500Lの大きなニュートラルオーク樽で19か月熟成。前VTGよりも4か月長く熟成期間を設けた。
ブラックベリーの果実味の中にレザー、タバコ、リコリスなど複雑なニュアンスを持ち、滑らかなタンニンがエレガントなボディを象る。広がりのあるアロマはカシスやスミレの花、ミントチョコレートなども感じさせ、華やかな印象。しばらく寝かせることで更に楽しみが増えるワイン。
「カリフォルニアで最高のシラーを造るなら、ストルプマンのブドウで」-ローヌ品種のワイン造りを目指す醸造家たちの間ではいつしか合言葉のようになったほど、ストルプマンヴィンヤードは上質なシラーを生産することで知られています。
過去に13度もパーカーから100点を獲得した「シネ・クア・ノン」にも使われることで知られる彼らのシラーは、地元のオーハイ・ヴィンヤードなど著名なワイナリーがこぞって買い付けていて、自社のワインを生産するようになった現在も他のワイナリーへ供給を続けています。
25年前、設立者のトム・ストルプマンは長く探し求めていた石灰質の土壌のこの土地をサンタ・イネス・ヴァレーで見つけ、ドライファーミングを行ってきました。霧が湿度を保ち、気温が夜はとても低くなることなどに加え、地中90mほどまで続くライムストーン層が地表1m程度の粘土質で覆われていることがドライファーミングに好条件となっています。植えてから最初の5年程度は幹や根を育てるために灌漑をしますが、その後1,2年の離乳期間を経て、灌漑をストップします。それにより根は地中深くまで伸び、栄養分や水分を自ら求めるようになります。ブドウはそれまでの実果のサイズを記憶していて、数を減らしてでもそれまで作ってきた房の大きさになるよう、自らの力で成熟していくのです。
バラード・キャニオン
2013年に正式にAVAとして認定されたバラード・キャニオンはストルプマンを筆頭に、多くのワイナリーがシラーを栽培しています。現在AVA全体の60%がシラー、20%がグルナッシュやルーサンヌなど、ローヌ品種が栽培されています。
高品質のシラーを栽培する同AVAの8生産者は、”BallardCanyon”の文字をボトルネックにぐるりと彫り込んだ共同のボトルを使用しています。個のボトルがバラード・キャニオンのシラーの美味しさを世界中に示すようになる日も間もなくでしょう。
LaCuadrilla
ラ・クアドリーヤは1994年からストルプマンの畑の管理を行うルーベン・ソラザーノとそのチーム、そしてワイナリーの共同事業で、それぞれのクルーは自分たちにまかされた畑のブドウを使い、ラ・クアドリーヤを造ります。この収益は年末のボーナスの一部に充てられ、直接自分たちに還元される仕組みとなっています。それぞれがプロ意識を持ち、生産するワインこそが、まさに畑で造られるワインと言えるでしょう。
Combe
“ニューカリフォルニアスタイル”と呼ばれる新潮流を築き、近年注目を集めるラジャ・パーとピーター・ストルプマンのプロジェクト“Combe”。
ストルプマンの畑のブドウを高く評価していたラジャがピーターを説得し、カリフォルニアではマイナーな品種を中心に造る少量生産のワインです。ラジャ・パーの斬新なアイデアとその希少性、そしてワイン自体の高い品質は世界中のソムリエたちに絶賛されています。トゥルソーやシュナン・ブラン、ガメイなど、わくわくするようなプロジェクトが進行中です。