冷たい海洋性の風を受けて育つサンタ・バーバラで最も古い畑の一つ、ビエン・ナシードの西向きの畑のシラー。
海から約25キロ、ビエン・ナシードの標高200メートルほどの小高い丘で西に面した畑。
ブドウはエストレラ・クローン。
夜間に手摘みで収穫し、天然酵母で発酵。マロラクティック発酵。600リットルのフレンチオークパンチョンで16ヶ月間熟成。無清澄、無濾過でボトリング。
香ばしいカカオニブや牡丹の花の美しいアロマと早熟のブルーベリーのニュアンス。ブラックペッパーのスパイス感は数年の瓶内熟成を経て深みと共に少しずつ現れてくる。リリース直後は新鮮な果実と花のアロマを楽しみたい。
ビエン・ナシードの歴史は1837年、当時スペイン領であったアルタ・カリフォルニア州でトーマス・オリベラが2平方リーグ(約6100ha)の土地を二人の州知事から与えられたことから始まります。この土地の所有権はサンタ・マリア・メサからサン・ラファエル山脈まで伸びており、シスコック川に合流するカヤーマ川に接しています。
1855年、トーマス・オリベラはランチョ・テプスケを義理の息子であるドン・ファン・パシフィコ・オンティヴェロスに売却し、翌年オンティヴェロスはレンガ造りの小屋を建て開拓を始めます。その後ワイン用のブドウ栽培を始めました。この古い小屋は現在もビエン・ナシード畑のブドウの畝に囲まれて残っており、地元のワインメーカーや栽培農家らのコミュニティにとって大切な憩いの場となっています。
1969年、カリフォルニアで5代続く農家であるミラーファミリーは、当時まだ発展途上だったサンタ・マリア・ヴァレーのワインカントリーの一画に土地を購入しました。1970年代初頭までに、ミラー家はブドウ畑を整備し、ビエン・ナシード・ヴィンヤード(BienNacidoVineyards)と命名しました。それ以来、OjaiVineyardやAuBonClimatなど、名だたるワイナリーのワインメーカーがビエン・ナシードのブドウを使い、素晴らしいワインを生産しています。サンタ・マリア・ヴァレーの東側に位置し、太平洋からの影響を強く受けるこの畑では、最高品質のピノ・ノワール、シャルドネ、そしてシラーが栽培されています。この土地のテロワールは、ゴロゴロとした岩の多い土壌、冷涼な気候、長い日照時間とブドウを優しく包む霧、そして日々畑で働く人々の思い、そのすべてが組み合わさったものです。
ビエン・ナシードのブドウが持つ個性や特徴は、日々誠心誠意畑と向き合い、使命感を持って作業をする栽培チームによって見いだされ、まさに彼らの献身的な労働を代弁しています。カリフォルニア中のワインメーカーがここのブドウを切望するのは、彼らがこのテロワールを実感できるからでしょう。
トレイ・フレッチャー
ミラー・ファミリー・ブランドに入社する前は、ナパ・ヴァレーのスタッグス・リープAVAやアルゼンチンのメンドーサ、カファヤテ地域などで働いた後、ドメーヌ・アルフレッドのアシスタント・ワインメーカーとして着任しました。その後、ソノマのリトライでアシスタント・ワインメーカーのポストに就き、カリフォルニアのセントラル・コーストにあるミラー・ファミリーの一員となりました。